1956(昭和31)年5月9日、日本山岳会隊がマナスル
(ヒマラヤの巨峰、標高8156m、世界8位)の初登頂に成功しました。

その時のメンバーだったのが佐藤久一朗さん。
その佐藤さんは、後のキャラバンシューズとよばれる登山靴を開発しました。

佐藤さんは登山用具はもちろんのこと、家具や背広、印鑑に至るまで、
道具類は全て自作するほど手先が器用な方でした。

この特技を生かして、マスナル遠征用の登山用具の殆ども特注品を用意がされました。
ただ、靴だけに問題が残りました。

今でもベースキャンプから山頂までは、
靴底に金属の入ったアッパーには丈夫な皮革を使った重登山靴が使われています。

問題はベースキャンプまでの長い道のりに履くアプローチ用のシューズでした。

当時、地下足袋で山登りする人もいた頃、
今で言う”軽登山靴”そのものがありませんでした。

ヒマラヤのアプローチを地下足袋や運動靴で歩くにはどうしても、
”岩場でも滑らず、軽く履きやすくて靴擦れもしない靴が必要でした。

1954(昭和29)年、キャラバンシューズ販売開始。製造は藤倉ゴム工業。
アッパー部に「日本山岳会推奨」のマーク。値段は1962(昭和37)年当時で2,000円前後。
プロ用の重登山靴に比べて格安でした。

性能についてはマスナル遠征隊の折紙付き。
その後の第一次登山ブームにのりキャラバンシューズがブームとなりました。

1959(昭和34)年、キャラバンシューズがフルモデルチェンジされ
「キャラバンスタンダード」になりました。

アッパーの綿帆布をゴム引きナイロンに変更して防水性が向上。

「トリコニー」と呼ばれる鉄製のスパイクをソールの土踏まず部分に装備。
これにより濡れた岩場での滑り止め効果がアップしました。
カラーは紺と赤の2種類。

キャラバンスタンダードは、毎年改良しながらも基本スタイルは変更していません。
スタンダード以外にヘビーデューティーなものから、ハイキングに使えるカジュアルなものまで、
毎年製品ラインナップが増えています。

キャラバンスタンダードを履いて登山した、かっての若者だった人たちも、
年を重ねよりカジュアルに山をエンジョイするスタイルになり、2003年に生産は終了。

トータルでの生産数は、50年で約600万足。現在は1981年に登場した「グランドキング」ブランドが、
キャラバンシューズのコンセプトを受け継いでいます。

開発者である佐藤久一朗さんは仕事中心の生活を続けておられましたが、晩年山に復帰され、
69歳になって スイスアルプスのアイガー登頂に成功されています。

登山入門者が使いやすいように設計された、キャラバンシューズの代表的なモデルです。

履き口まわりに柔らかな生地やクッション材を採用し、足首を優しくホールド。

指先まわりはゆとりを持たせ、アキレス腱部分は
足首が動きやすいよう浅めにカットするなど、
初めて登山靴に足を入れる入門者でも違和感なく
履ける設計です。

つま先部分にはTPU樹脂カップを採用し、指先をしっかりと保護。

さらに、悪路でもグリップ力を発揮するキャラバントレックソールや、
着地時の衝撃を吸収するインソールクッションシステムにより
歩行性能を高め、低山はもちろん、富士登山、尾瀬や屋久島での
トレッキングにも最適です。